メガネかえてみる?ジェンダー、身体、伝統を疑う
2021年9月17日-10月17日 アートラボあいち
かつてこの国では「キャバクラ」と呼ばれる劇場酒場が日本各地で猛威を奮っていた。
控室では煌びやかな衣装を纏った演者たちが化粧直しをしたり、観客に向けて誘いの連絡をを入れる。客入りの合図がなり、扉を開けばそこは劇場だ。リハーサルや台本はない。観客を交えて行われるその公演は、演者たちのアドリブで進行していた。
展覧会「メガネかえてみる?ジェンダー、身体、伝統を疑う」では歓楽街で働く女性たちをテーマとした絵画作品を発表した。キャバクラとはキャバレーとクラブを合成した造語であり、お客さんを笑顔で出迎え、楽しくお酒を飲んでもらう業態の店のことをいう。ここではそれを「劇場」と形容した。
そして自分の感情を表にださず、相手の欲しい言葉や態度を示し、感情労働に従事する女性のことを「演者」と形容した。ぱっちりと開いた大きな瞳や今にもポキッと折れてしまいそうな細い体でピンヒールを履いて男性の元へと駆けつける姿は愛らしいものとして多くの男性の心を掴むものとして根付いている。
男性中心主義的な価値観の中にある痩身礼賛の舞台の中で、か弱い女性像を演じる強かさをメガネをかえて未来の視点から俯瞰して見た時、変わらず愛らしいものとして認識されるだろうか。
現代のモデルに対して時代錯誤とも取れる油絵絵画の様式で提示することで、美しさの価値や定義への問いを投げかける。
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